民法物権 10章2節 抵当権の効力

民法物権 10章2節 抵当権の効力

民法物権 10章2節
 (抵当権の順位)
第373条
同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。

 (抵当権の順位の変更)
第374条
1 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

 (抵当権の被担保債権の範囲)
第375条
1 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の2年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して2年分を超えることができない。

 (抵当権の処分)
第376条
1 抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
2 前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。

 (抵当権の処分の対抗要件)
第377条
1 前条の場合には、第467条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
2 主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。

 (代価弁済)
第378条
抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

 (抵当権消滅請求)
第379条
抵当不動産の第三取得者は、第383条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。
 
第380条
主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

第381条
抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。
 
 (抵当権消滅請求の時期)
第382条
抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。

 (抵当権消滅請求の手続)
第383条
抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
 一 取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
 二 抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
 三 債権者が2箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面

 (債権者のみなし承諾)
第384条
次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。
 一 その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後2箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
 二 その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
 三 第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
 四 第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第188条において準用する同法第63条第3項若しくは第68条の3第3項の規定又は同法第183条第1項第五号の謄本が提出された場合における同条第2項の規定による決定を除く。)が確定したとき。

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